「過食症を抱えている自分も嫌いじゃない。」過食症体験談インタビューvol.1

過食症体験談vol1「キュウ」過食症歴5年

過食症歴5年。
過去には”嘔吐あり”の時期も長くあったけれど、現在は”嘔吐なし”で落ち着いているキュウさん。「過食症を抱えている自分も嫌いじゃない。」と感じられるようになるまでに、どのような背景があったのでしょうか?

Q.過食症になったきっかけを教えてください

過食症歴5年と言いましたが、病気だと自覚したのが5年前なだけでその傾向はずっと前からありました。そのため、明確に「いつから過食症なのか」を答えるのは難しいので、いくつかに分けて私の過食症体験を伝えたいと思います。

始まりは「太ったら結婚できない」という言葉

もともと人見知りで人前で話すことが苦手だった私は、学校や、親戚の集まりなど大勢の中にいることに強いストレスを感じる子でした。今振り返ってみると、その頃からストレスを食で満たす部分があったと思います。

また、私の周りの大人たちは皆「太っていること」をネガティブに捉える人たちでした。特に、両親や親戚達はことある毎に「太ったら結婚できない」というようなことを言い続けていました。幼い頃から結婚に憧れていた私はその言葉を聞くたびに「太ってはいけない」という意識が働きましたが、食べてしまうため痩せていることができず、気づけば自分の体形にコンプレックスを感じるようになっていました。

「痩せていないと価値がない」と苦しむ学生時代

基本的にストレスがかかると食べ過ぎるか食べなくなり過ぎるかのどちらかになり、学生時代はそれを繰り返していました。

中学生の頃、はじめて自分に「心の病」があることを診断されました。その病は「過敏性腸症候群」という名前で、私の症状はとても重く、ノロウイルスにかかった時のような激しい下痢のせいで一年半ほど【トイレか布団(時々病院)】という寝たきりのような生活を送っていました。下痢のせいで物が食べられず、どんどん痩せていきました。ちなみに、学校も行けず不登校でした。

下痢によって痩せていくことに安堵のような気持ちを感じるとともに、また太るのではないかという恐怖から、毎日体重計に乗っては一喜一憂していました。

中学生3年生の後半あたりから少しずつ不登校教室に通えるようになり、高校にも入学しましたが、そこで男性との交流が生まれました。その頃、あるきっかけで男性への恐怖心を感じるようになっていた私は、男性に好かれないために太ろうと決意し、好きなものを好きなだけ食べるようになりました。好きなものを食べることを心地よく感じられるようになった反面、これまで食べることを我慢していた反動もあって、どんどんと太るようになりました。

「太ったら嫌われる、価値がなくなる」と思っていたため、男性どころか友達まで失うのではないか、家族からも嫌われるのではないか、という恐怖も感じていましたが、その時すでに自殺願望のあった私は「それでもいいやどうせ死ぬし」と思いながら太っていました。その結果、意外にも「太ったから友達やめる」という人は一人もおらず、友達や家族の繋がりを失わなかったことに安堵のような気持ちを覚えました。

しかし、自分から望んで太っても「痩せていないと価値がない」という価値観から解放されたわけではありません。

安堵のような気持ちを覚えたのは一瞬のことで、今度は「私は太っているから価値がないはずなのに一緒にいるこの人たち、おかしい。価値がない人とわざわざ一緒にいるからには、何か裏があるのだ」というような感情が湧いてきました。

結局のところ、自分が「太っている自分」に対して価値を認められていないので、いくら周りが私に価値を認めても「相手は嘘を言っている。そうやって私を褒めることで天狗にして貶めたいのだろう。」などと捉えてしまい、誰も信用できませんでした。そして、それがまたストレスになり、食べることに走ってしまうのでした。

失恋をして、過食が再発

苦しい学生時代のあと、悩み相談にのるボランティア活動をはじめました。そこでは、これまでのツライ経験が誰かの役に立つことを感じられて、自分のことを肯定してあげられる時間が増えました。また、自分の悩みを相談できる友人も増えました。

そういった経験から少し自信がついたこともあり、その後は、やりたい仕事に就けたり恋人ができたりと公私ともに順調な期間が続きました。この時期は、過食もおさまっていました。

しかし、失恋をしたことをきっかけに、またも過食が再発しました。
恋人ができてからはボランティアを辞めて、仕事と恋人にほとんどの時間を割いていたこともあって、救いを求められる場所がほとんどなかったことも影響していると思います。

食べて、食べて、食べ続けてしまい、食費がどんどんと膨れ上がりました。
ついには生活を続けることも危うくなり、「このままだとマズい」と本気で感じました。

そうして、はじめて過食症と向き合うことを決めました。

Q.過食症改善に少しでも効果があったことを教えてください

思い出せる範囲だと、3つあります。

過食症への知識を深めることで自己肯定感に気付けたこと

人って、分からないことにたいして不安を抱くと思うんです。
だから、まずは知識を深めるために過食症の本を読みました。そして過食症のことを知れば知るほど、私が過食症になった根本は「AC(アダルトチルドレン)であること」なんじゃないかなと思うようになりました。そのため、過食症の本だけでなくACの本や共依存の本なども読みました。

本を読んで良かったのは「過食症になった原因の中には自分の問題だけでなく環境の問題もある」と気付けたことです。私は自分のことを責めやすいのですが、本を読みながら家族や周りの大人たちの言動を思い返すと「私が過食症になったのは、実は異常ではなく自然なことだったのかもしれない」と感じるようになりました。そうすることで、食べてしまう自分を責めるよりも「今までよく死なずに頑張って来たなあ」という気持ちの方が大きくなり、不思議と安心できました。

また、過食する自分をある程度認められるようになったことで、以前と違って「ダメだとわかっているクセになんで食べてしまうんだ!」と自分で自分を責めなくなった分、ストレスも減り、結果的に過食の頻度も減りました。

今の自分でも認めてくれる人たちができたこと

本当に苦しいときには、知識だけでなく誰かの支えも必要だと感じます。
私の場合、ボランティア活動をつうじて出会った人たちが少なからず支えになってくれました。私がどんなに悩んで元気を出せなかったとしても「それもキュウちゃんだよ」と言って優しく受け入れてくれる人ができました。

元気な私でもいいし、元気じゃない私でもいい。
どんな私でもそれでいいと認めてくれる人たちができたおかげで、過食症の自分を責め過ぎることが減りました。

断る勇気を持てたこと

自分がツライときでも周りに合わせてしまうことが多かった私ですが、最近は、一人でいたいときには「一人でいたい」と伝えることができるようになりました。これもボランティア活動をつうじて出会った人たちが「この人たちはノーと言っても自分のことを嫌わない」という安心をくれたからだと思います。

相手の善意ある申し出を断るかどうかを選べる、ということも、自分を大切にする手段の一つになりうると思います。しんどいときには自分の気持ちをちゃんと大切にしてあげられるようになったので、過食があっても嘔吐をすることはなくなりました。

Q.過食症を経験して今感じていることを教えてください

私はまだ過食症を完治できていませんが、”嘔吐あり”の状況から”嘔吐なし”の状況にまでは改善できました。また、今では「太ったら価値がなくなる」という強迫観念が襲ってきても「違う、それは客観的な事実ではないし、太っていても中身の価値は変わらない。」などと思いなおし、囚われる時間が短くなりました。以前よりも自己肯定感を持てるようになったと思います。

過食症は孤独な病気です。
心配をしてくれる人はいますが、当事者でなければ理解するのは難しいのでなかなか周りに悩みを打ち明けることもできません。また、金銭的な不安も大きくなるので、話せるかなと思う人がいても「人に会うにはお金がかかるから会えない」なんてこともざらにあります。

さらに私の場合は、過食症だけでなく過敏性腸症候群や社会不安障害なども抱えてきました。過去に自殺未遂をしたこともあれば、不登校だったこともあるし、専門学校を中退してしまうなど、社会的に見たらきっと”ダメな人”なんだと思います。

だけど、たくさん悩んだからこそ自分の心と深く向き合うこともできました。また、これまでの経験から「同じような悩みを抱える人たちを癒せるようになりたい」と思う気持ちも生まれました。

だから今は、
・自分の体験を発信すること
・病院や当事者会に参加してみること
・本を読んで自分なりに自己分析すること
などの取り組みをおこなっています。

これらの想いはすべて、過食症をはじめとした過去の苦しい経験がくれたものです。

まだまだ過食症になったことのすべてを「心から良かった」とは言い切れないけれど、今は、「過食症を抱えている自分も嫌いじゃない。」とは言い切れます。自分でもこんなこと思うのは不思議なのですが、最近「もし本当に生まれる前に好きな人生を選んで来るようなことがあったのだとしたら、きっと自分は本当に望んで今の人生を選んで来たんじゃないのか?」と思う瞬間もありました。

これからも、じっくりコツコツ過食症に向き合っていきたいと思います。

Q.最後に、過食症の人たちへメッセージをお願いします

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私は摂食障害の中では症状が軽いです。
症状が重い方や入院中の方からすれば、私は全然マシだと思います。事実、摂食を診ている医者に「あなたのレベルよりも重い人はたくさんいる」というようなことを言われ、傷付いた経験もあります。自分は摂食だと名乗ってはいけないと思っていました。

その結果、深刻な時に誰にもわかってもらえず孤独でした。

そんな私から、お願いがあります。
皆さんの中には様々なレベルの症状の人がいらっしゃると思います。でも、どうか、どうか「症状の度合いが人より軽い」とか「重い」とかいうことで自分を責めないで欲しいです。あなたの苦しみは、あなた自身しかわかりません。それはどのような内容であれ、人と比べても比べなくても「苦しい」もので、自分がその苦しみで困っているということは紛れもない事実なのです。助けが必要なときに助けを求められなくても、せめて助けを求めたいと願う心だけは責めなくていいと思うのです。

私には皆さんの気持ちを知ることはできません。私は私の心しかわからないから。人の気持ちを知ることのできない私が自分の考えを発信したところで、なんの役にも立たないかもしれないです。それでも発信したいと思うのは、自分自身の癒しのためなのでしょう。癒される人を見ることで、私も一緒に癒されたいと思っています。今、過食でボロボロになっている人が、一人でも癒しに向かえるように願っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

キュウさんのプロフィール
子供が好きで保育園で働いています。
趣味はブログを書くこと。心の動きに興味があり、自分の感じたことを心のままに発信しています。このサイト「リコの笑顔」の親サイトにあたる「ココトモ」でも過去の経験を赤裸々に綴っているので、もし良ければご覧ください。

▽キュウのプロフィール詳細はこちら
http://kokotomo.com/author/no_nappa/

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