「過食をしてしまうからといって、自分はダメ人間だなんて責めないでほしい。」過食症体験談インタビューvol.3

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過食症歴5年。
度重なる入院生活を経て現在は”環境を変えて働くこともできるようになった”というヒカリさん。自身の経験から「過食をしてしまうからといって、自分はダメ人間だなんて責めないようにしてほしい。」と呼び掛けるヒカリさんに今回はストーリーを聞いてみました。

Q.過食症になったきっかけを教えてください

私は過食症を発症してからしばらくして、入退院を繰り返すようになりました。
完治したとは言えませんが今ではだいぶ症状も落ち着いているので、今日に至るまでのストーリーを簡単にお話したいと思います。

最初のきっかけは「過労」

過食症が始まったきっかけは、一言で言うと大学生時代の過労です。
私が専攻していた建築学科は学業が非常にハードだったため、課題に追われて睡眠時間もまともに取れないことが多かったです。

さらに、同時期に2人の祖父が相次いで危篤状態に陥ってしまい、家の中では両親も疲弊しきっている状況でした。そのため、学校でも精神的にギリギリになり家に帰っても「私が倒れるわけにはいかない!と無理をする生活が続きました。

毎日終電まで学業をこなし、夜中に家に帰る。
家に帰ってからは疲れを出さないようにして家事の手伝い。
そんなストレス環境下で、真夜中に食事する量が増えていきました。

真夜中に大量のハイカロリー。もちろん体重も増えました。
ついには胃が耐えられなくなり胃炎を起こしてしまい、このときにはじめて「自然嘔吐」しました。

嘔吐をすると、とてもスッキリした感覚になりました。
この感覚が癖になり、気づいたときには自己誘発嘔吐をしていました。
嘔吐することで体重も減り始めたため、私は「吐けば痩せるんだ!」と分かってますます嘔吐するようになりました。

ちなみに、最も痩せていたときには30kg台まで体重が落ちました。

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※当時の写真

はじめは体重が減る喜びもありましたが、その喜びはつかの間のこと。
過食衝動をコントロールしたくてもできない。「お腹が空いて食べては吐く。吐いたらお腹が空く。」という終わりの見えないループの中で、ふと顔を上げたら朝日が昇っていたことがありました。うつや不安で電車も苦手になり、学校に行けないことや途中下車をしてしまうことが増えました。

ついには休学。そして入院生活。

「このままではいけない!」と思い切って両親にカミングアウトしました。
両親には心の病を理解されませんでしたが、(親に心療内科を断られて)行かされた内科のお医者さんの協力のおかげで最終的には心療内科に通うことができました。

心療で薬物治療とカウンセリングを受けるようになり少しは気持ちも楽になりましたが、学校を卒業したい気持ちもあり焦ってしまい、無理に学校に通ってハードな生活を続けた結果、ついに限界を超えてしまいました。そして留年、ついには休学して療養に入りました。

療養中は一時的に嘔吐の頻度が落ちる時期などもありました。
しかし根本的な問題が解決したわけではないようで、復学したのにまた学校に行けなくなるということが続いたため
、最終的には自分のペースで学校の論文を提出したいと思い、摂食障害に強いといわれていて入院施設のある病院「くじらホスピタル」に転院しました。ホテルみたいに綺麗で、ご飯も美味しく、精神療養には贅沢すぎるくらい良い病院でした。

ここからまた頑張ろうと思った矢先。
不幸なことは続くようで、入院時の検査で「心臓が極度に弱っていたこと」が発覚しました。心臓がいつ止まってしまうかも分からない状態だと診断され、個室で、出歩けず、お風呂も入れず、論文も諦めなさいと言われ、ただ栄養をもくもくと摂るだけの生活を強いられました。本当につらかったです。

それでも少しでも良くなるために、病院が「バランスの良い食事」「栄養指導」「心理カウンセリング」「理学療法」「作業療法」「散歩」「集団プログラム」、そして「自由時間」を組み合わせてくれました。一人だと心が折れていたかもしれませんが、彼が毎日通話してくれたり、たくさんの人がお見舞いにも来てくれたり、個性的な友人がたくさんできたことで入院生活を続けることができました。

その後も入退院を繰り返すも、彼との同棲によって症状が変化

入院生活のおかげで心臓は今も動いていますが、症状としてはその後も波を繰り返しました。
最初に書いたとおり私は実家で心を休めることができないため、症状がすこし良くなり退院できたとしても実家に戻ることで過食が再発していました。

くじらホスピタルだけでなく「長谷川病院」という病院にもお世話になりましたが、やはり退院して実家に戻るとまた悪化するという生活は変わりませんでした。

この頃には過食症に対する知識も増えていたので、幸せそうに見えた自分の家庭環境が過食症の原因の1つになっていることも気づいていました。

そんな中、お付き合いしている彼が「転地療養」を提案してくれました。ご実家にいた彼は私の入院中に自立して部屋を借りてくれ、退院後転がり込める環境を用意してくれていました。

はじめは気持ちの不安も体調の不安もありました。
しかし、彼や周りのサポートのおかげでだんだんと彼の家に居られるようになり、実家から離れることで症状も回復していきました。安心に守られている環境に自分の身をおくことの大切さを感じました。

もちろんまだまだ完治とは言えません。
しかし、金銭的に生活を圧迫していたり、他のことが滞ったりということは無くなりました。
病院から出られなかった私が仕事することもできるようになり、最近ではなんと正社員のお話までいただいています。

ここまでくるのに助けてくれたすべての人たちに感謝しています。

Q.過食症改善に少しでも効果があったことを教えてください

大きな3つを紹介させてください。

知識をつけたこと

まずは過食症について学びました。
過食衝動が起きたときに知識がないと「自分に何が起きているのか」分からずパニックになってしまいます。私の場合は、栄養指導と心理カウンセリングを受けてさまざまな角度から知識を増やしました。

知識があれば過食衝動が起きたときにも必要以上に慌てることがありません。さらに過食をしてしまった後にも、身体にどんな影響があるのかまで分かるため不安が減ります。

また、知識を増やすことで改善に向けての行動も起こしやすくなり、結果として自立して自信を持てるようになりました。

どんなときも見守ってくれる存在

彼の存在もとても大きかったです。
彼は「どんなあなたでもあなただよ、生きて」と、どんなときも見守ってくれました。私が太っていても痩せていても、死にたがっていても、泣いてぐちゃぐちゃでも、あなただから好きなんだと見守り続けてくれました。

さらに、過保護になりすぎず適度な距離感でいてくれたので、自分の足で立つ気持ちも持つことができました。そんな彼の愛情に支えられたおかげで、今の私があるのだと思います。

「痩せ姫」という本との出会い

この本では、体型に固執しがちな摂食障害者の精神を是正しようとしなかったところが評価できました。私は医者にさんざんと「女王をやめろ。特別でいるのを諦めろ。」と言われてきましたが、この本はそういった私の精神を否定することなく肯定してくれたところがとても良かったです。

本を読んでいると「まさに自分のことだ!」と感じる箇所も多かったです。とても共感できたおかげで、過食嘔吐は悪いことだと自分を責めるのをやめることができました。あんなに嫌った過食症のことを、「生活が圧迫されない限りは立派な生きがいだ!」とまで思えるようにもなりました。痩せていることは私の幸せに直結しているし、適度を守ることさえできれば全然悪いことじゃないって自信をもらいました。

私はこの本に出会えて背中を優しく後押しされたかのような安堵感に包まれたので、もし宜しければみなさんも読んでみてください。

※私の感想ブログは→こちら

Q.過食症を経験して今感じていることを教えてください

一言でいえば「摂食障害になってよかった。」と感じています。
私はもともと心や身体のSOSに気づくことができない人でした。気づかないうちに苦しい状況になってしまい自分の人生を嫌うこともありましたが、摂食障害になったおかげで今は自分のことを知る機会を作れたのだと感じています。過食してしまうことを悪と決めつけず心や身体の声に耳を傾けることで、自分の最奥にある問題に気づくことができるかもしれません。

苦しいことも多くありましたが、今は私が主人公の世界で生き抜こうと日々楽しく過ごせています。もちろん、常に葛藤はありますので、隙間の中でもちょうどいい場所探しをしている感じなのかなあ、と。今後はいつ死んでも「あの子は幸せに生きたね!」って言ってもらえたら嬉しいなぁと思います。最近は、大きな夢ができて、毎日きらめいて、光に満ち溢れた毎日です。

Q.最後に、過食症の人たちへメッセージをお願いします

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まずはこの記事をご覧いただき本当にありがとうございます。
今過食症で苦しんでいる人たちに私が伝えたいのは「過食をしてしまうからといって、自分はダメ人間だなんて責めないでほしい。」ということです。

周囲は訳が分からないとかそんなに食べるなと言うかもしれませんが「これは私には必要なことなのだ」と割り切るところから始めてみてはどうでしょうか。
そして食べるものは、なるべく人の手を介した暖かいもの、食べたいものにしてみてください。自分で作ってもいいし、少し贅沢してみてもいいし、少しでも心を満たせるような食事を心がけると過食の量が減るように思います。

摂食障害と向き合うための完全なマニュアルは残念ながらありません。
でも、まず向き合おうとする姿勢が素晴らしい一歩だと思います。
自分のペースで、わたしらしくなりましょう。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

ヒカリさんのプロフィール
人が好き。摂食障害で入退院を繰り返した後、転地療養で回復。ボウリング場のパートを経て人との交流の楽しさに気づき、ファイナンシャルプランナーを目指すことにしました。思ったことや趣味、摂食障害についての雑記ブログを書いています。当サイト「リコの笑顔」でも活動しています。

▽ヒカリのプロフィール詳細はこちら
http://rico-smile.com/author/ynora/

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